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治りにくい汗孔角化症(かんこうかくかしょう)治療におけるビタミンAケアの可能性について

見た目の問題が大きく、QOL(Quality of life)が低くなることが問題の汗孔角化症。
今回、当院で取り入れてみた治療法により汗孔角化症の患者様にとても良い効果が見られたため、この病気に悩む方々にご報告させていただきます。

汗孔角化症とは、どんな病気?

「汗孔角化症」とうい病名。聞きなれない方も多いと思います。
この皮膚病は主に腕や足、体、顔などにあらわれる円形状の病変です。全体的には茶色っぽく、輪っかのようなのふちどりがあり、そのふちどり部分が少し盛り上がっています。

汗孔角化症には様々な型がありますが、日本人の場合は、30〜40代の日光に当たることの多い腕や足に、小さい発疹が多数出来るタイプが多いとされています。他にも古典[Mibelli(ミベリ)]型と言われる、手足の末端や顔に2cmくらいまでの発疹が多数見られるものなどもあります。

経過が長く、そして治りにくい病気で、人から見える部分にあらわれやすいためQOLに大きく関わり、悩みの大きい病気のひとつです。


 

汗孔角化症の症状とは?

「汗孔」の「角化症」という名前がついていますが、汗孔(汗の出口)と関係ない部位にもできます。

「角化症」とは、皮膚の表面の角層が通常より病的に厚くなることです。

汗孔角化症の発疹部は、中央の皮膚がわずかに凹むことが多く、ふちどり部分は角化して堤防状に盛り上がりし、色が濃くなるのが特徴です。

稀に悪化して悪性腫瘍(有棘細胞癌やボーエン病、基底細胞腫)などに移行することもあります。急激に発疹が大きくなったり、発疹部が潰瘍(皮膚がえぐれたようになる症状)になる場合は要注意です。

 

汗孔角化症の原因とは?

原因は今のところはっきりとしていませんが、紫外線に当たりやすいところに発症する場合も多く、手足に発疹が出現し、やがて全身に広がることもあります。

汗孔角化症はいくつかのタイプに分かれ、紫外線暴露や外傷、加齢が発症のトリガーになっているものから、出生児または幼児期から発症するものもあります。また、遺伝も関係するケースもあります。

 

汗孔角化症のこれまでの治療方法について

 

  • 角質溶解剤の外用・・・サリチル酸ワセリンなど、角化症の治療に広く使われる外用剤を1日数回患部に塗布します。
  • 切除・剥削・凍結・・・CO2レーザーによる病変部分の切除、電気焼灼、皮膚剥削術、液体窒素による凍結療法などがあります。
  • ビタミンA誘導体・・・エトレチナート(ビタミンA誘導体)の内服

これまで、汗孔角化症の治療法といえば上記ようなものがありました。しかし、外用治療では効果が見えにくく、外科的切除やレーザー、電気焼灼などの治療は保険が効かないものもあり、費用が高くなる場合もあります。

また、傷跡のほうが目立ってしまうこともありました。エトレチナートの内服は、催奇形性があるため、避妊をしなくてはならず、さらに粘膜が荒れる副作用もあり、気軽に内服出来ないのが悩みでした。

 

汗孔角化症の新しい治療法

私は、治療に必要なことは、まず安全であること。そして、費用負担が高額でなく長期継続できること。だと考えました。そこで私は、発疹を除去するのではなく、ターンオーバーを促すエンビロンのビタミンAケアによる治療を開始しました。

2015年の4月に当院に診察でいらっしゃったAさんは、10年前に汗孔角化症を発症しました。他院でレーザー治療を行いましたが、なかなか効果が出ず、費用も高いため、半ば治療を諦めかけていたそうです。

 

Aさんの治療前の状態はこちらです。

かなり症状は強く、AさんのQOLに関わる状況であると感じました。


当初レーザー治療も考えたのですが、今までのAさんの経験からお勧めすることが出来ず、色々と考えた結果、エンビロンのAケアによる治療をご提案しました。

 

2015年6月からエンビロン モイスチャーシリーズとコスメティックロールキットの使用をスタートし、2ヶ月経ったところで改善効果が見られたため、さらにAケアを強化するため、2015年8月からエンビロンのドクターズサプリ「A+C,E」をプラスし、1日1錠ずつ内服してもらいました。

<治療開始後の2015年12月の写真>

この治療ではっきりと効果が見られ、ご本人も改善を実感し手応えを感じたため、さらに2016年の2月からはドクターズサプリ「A+D」も追加して、それぞれ2錠ずつに増量し、毎日服用してもらいました。

<2017年6月の写真>

どんどんよくなっています。

さらに全体的な肌質も改善されて、若々しくなっていると思いませんか?

まだ症状は残りますが、当院来院時と比較すると、ずいぶんと症状が軽くなりました。

Aさんは「化粧が薄くてもよくなった。肌の調子全体が改善した。」と評価されています。

 

経過をまとめてみると、次の通りです。

 

2005年頃 発症、他院にてレーザー治療等を受けるも改善せず

2015年4月 当院初診

2015年6月 エンビロン モイスチャーシリーズ+コスメティックロールキットによる治療をスタート

2015年8月 エンビロン ドクターズサプリA+C,Eの服用をスタート(1錠/日)

2016年2月 エンビロン ドクターズサプリA+Dの服用を追加(A+C,E 2錠/日、A+D 2錠/日)

2017年6月現在 現在も上記治療法を継続中

Aさんには現時点での経過についての感想をいただきました。

治療の過程で、患者様と効果を共有できること。これほど嬉しいことはありません。医師の独りよがりの治療ではなく、患者様と一緒になって治療をすすめることが皮膚の疾患ではとても大切です。

今回の治療は体への負担が無く、スキンケアの一環として行えることがポイントです。汗孔角化症の治療で取り入れたエンビロンシステムは、Aさんの皮膚と心をどんどん健康にしていきました。

 

<考察>なぜ汗孔角化症にビタミンAケアが有効だったのか?

今回のエンビロンシステムによるAケアが汗孔角化症にどのように作用したのでしょうか。

  • ビタミンAによる皮膚のターンオーバーの促進。
  • モイスチャークリームに含まれるパルミチン酸レチノールによる紫外線防御作用。

私見ですが、大きくこの2つが効果発現の軸となっていると考えました。当院に通院されているアトピー性皮膚炎の方の中に、エンビロンのAケアを行うことで、発疹が再発する回数が減る方が多くいらっしゃいます。今回のAさんの経過も併せて考えると、皮膚のターンオーバーを健やかに保つことが皮膚にとっていかに重要であるか。ということを実感します。

 

まとめ

現時点ではまだ治療実績が少なく、確信を持ってお勧めできるところまでたどり着いていませんが、レーザー等を用いないAケアを中心とした治療は患者様にとっていろいろな意味で負担が少なく、またサプリメント・化粧品のはたらきで健康状態やお肌全体の質感も向上するといった嬉しい相乗効果も期待できる画期的な治療法だと信じております。

もし汗孔角化症にお悩みの方がいらっしゃったら、ご相談に来てください。私と一緒にAケアによる治療にトライしてみましょう。

もし遠方で当院までご相談に来るのが難しいという方は、スマホ通院にてカウンセリングを受けていただくことも可能です。

 

 

著者について

秋葉原スキンクリニック院長 堀内 祐紀

秋葉原スキンクリニック院長 堀内 祐紀

東京女子医科大学出身。東京女子医科大学病院、都内美容皮膚科クリニック勤務を経て、2007年4月に秋葉原スキンクリニックを開院。
(所属学会)
日本皮膚科学会認定皮膚科専門医
日本脱毛医学会理事
日本皮膚科学会・日本美容皮膚科学会・日本レーザー医学会・日本肥満学会・日本抗加齢医学会・日本香粧品学会 所属
Allergan Medical Institute Jpan Trainer
Aケア協会アドバイザー