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皮膚科で治療すれば花粉症とサヨナラできる?新しい治療方法の舌下免疫療法とは。

 こんにちは。秋葉原スキンクリニックの矢田佳子です。

 寒い冬場になると、花粉症に悩む方も多くなるのではないでしょうか。今回は花粉症の新しい治療方法である舌下免疫療法の効果と治療方法を、効果が出やすい人と出にくい人、その副作用などをご説明します。

花粉症の患者数

 毎年2〜5月に多くの人が悩ませられる花粉症。2008年の鼻アレルギーの調査では、スギ花粉症の有病率は10年前には16%程度だったものが26%程度まで増加しているそうです。戦後、大量に植林されたスギが開花適齢期を迎えている近年、今後30年に渡りスギ花粉の飛散量と患者数は増加すると予測されています。

 スギ花粉症の患者年齢は30〜50歳が中心ですが、最近では5〜9歳の子供にも症状が見られるようになっています。発症年齢が低いほど症状が重くなる傾向もあるようです。

花粉症の症状

 典型的な症状として、くしゃみ、鼻水、鼻つまり、目のかゆみが多く見られます。程度は個々に様々ですが、様々な症状が合併して出る人もいます。スギ花粉症がある人は、他の抗原にも反応することが多く、通年性のアレルギー性鼻炎、結膜炎、アトピー性皮膚炎、喘息などのアレルギー疾患との合併も珍しくありません。

 この典型的な症状以外に、顔などに皮膚炎が出来たり、蕁麻疹が出現したり悪化することもあり、関係ないと思っていた症状でも花粉が関係していることがあります。1つのアレルギーが他のアレルギーを誘発するところが花粉症などのアレルギー疾患の難しいところなのです。

花粉症により作業効率が下がる?

 花粉症の症状により、勉強、仕事、家事などがスムーズに行えなくなったり、集中力が低下したり、また常に気分が晴れない。など、生活の質が低下する事態になることもあります。

 いつも内服薬や点眼、点鼻薬を使用しないといけないことへのストレスを感じる人も多く、それらから開放されたい。と切実に思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

新しい治療「舌下免疫療法」

 「鼻アレルギー診療ガイドライン」が2016年に改定されました。この改定では症状が軽い人の初期療法として鼻噴霧用ステロイド薬が加わりました。鼻の粘膜が炎症により傷つく前に、ごく初期の炎症から鼻噴霧用ステロイド薬を使用することで鼻粘膜の炎症の進行をストップし、花粉飛散量が増える時期の症状を抑えることが出来ます。

 今回の改定でのもう一つのポイントはスギのアレルゲンエキスを舌下に投与する「舌下免疫療法」が選択できるようになったことです。

 もともと行われていた「皮下免疫療法」という注射により皮下にアレルゲンを少量ずつ投与する方法は、治療した人の約8割が軽症〜無症状となる有効な方法でしたが、通院回数が多いことと実施する医療機関が少ないことなどが問題でした。

 「舌下免疫療法」は頻繁な通院が不要となり、患者様の負担が軽減できる治療です。治療施設も多く、保険適用になって2年以上が経過した現在、全国で約4万人がこの治療を行っています。「舌下免疫療法」は花粉飛散シーズンの2〜3ヶ月くらい前までにスタートすることが理想で、治療を始めたシーズンから症状が軽くなることが知られています。中には花粉治療薬を必要としなくなる患者様もおり、煩わしい花粉症から開放され、健やかな日々を送れるようになる可能性が高い治療です。

 ただ、花粉に反応しなくなるようになるまでに約2年程度かかるとされていて、長期に治療しなくてはなりません。(推奨3年以上)

 一度症状が軽快した後の効果の持続は個人差があるため、また症状が出てきた場合は治療を再開しないといけない場合もあります。

舌下免疫療法のメカニズム

 この治療、まだ十分にメカニズムが解明されていないのですが、以下のように考えられています。

 日常生活を送る中で体の中に入る量よりも多い量のアレルゲンが治療により体内に入ると

  • 制御性T細胞(過剰な免疫を抑える細胞)が活性化する。
  • Th1細胞(アレルギー反応をおさえる細胞)が増加する。
  • Th2細胞(アレルギー反応を促進する細胞)の増加をおさえる。
  • IgEとアレルゲンの結合を妨げるIgGなど(抗体)が増加する。

 などの反応が生じると考えられています。

 このような免疫反応の変化により効果が発現されるとされています。

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http://www.torii-alg.jp/allergy/mechanism.html

舌下免疫療法の薬剤「シダトレン®」の治療の流れ

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シダトレンでの治療を行っている医療機関で受診

 問診で「症状が出現する時期」「症状の程度」「アレルギー歴」などを聞かれます。この問診により医師が、スギ花粉が原因なのか他の病気が隠れていないかおおよそ見当をつけます。

アレルギー検査を行います。

 「皮膚テスト」または「血清抗体検査」「鼻鏡検査」「鼻汁検査」のどれかによりスギ花粉症の確定診断をします。

 すでに抗アレルギー剤などを内服している方は、正確な検査結果を出すため、検査前一時的に内服をお休みして頂く場合もありますので、担当医師に相談してください。

「皮膚テスト」:スクラッチテストまたは皮内テスト

スクラッチテスト:
皮膚の表面を細い針などでごく小さくひっかきます。 
そこにスギ花粉エキスや他の花粉エキスなどを垂らし、赤く腫れるかどうかチェックします。
皮内テスト:
皮膚のごく浅いところに花粉エキスを注射し、赤く腫れるかどうかをチェックします。

 ※このテストは花粉エキスを前もって用意しないと行えない検査ですので、常時テストが出来る施設は限られています。施設によっては行えない場合もありますのでご注意ください。

「血清抗体検査」

 血液を採血し抗体の有無をチェックする検査です。採血検査にて摂取した 血液をスギなどのアレルゲンと反応させ判断します。偽陽性〜強陽性の6段階で結果を示します。

 ※この検査は結果が出るまでに数日を要する可能性があります。

「鼻鏡検査」

 鼻鏡という機械を使って鼻の粘膜をチェックする検査です。アレルギーがある場合、赤く腫れた鼻粘膜や水っぽい鼻汁が確認されます。

「鼻汁検査」

 鼻汁を採取して、鼻汁中に好酸球(白血球の一種)の存在をチェックします。花粉症では好酸球という免疫を担う細胞が増えています。

検査で陽性となった場合、治療を開始します。

 治療のスタートは医療機関で行います。シダトレンを1滴、舌下に垂らし、2分間飲み込まずそのままにします。2分後にごくんと飲み込みます。そこから30分、体調変化、アレルギー反応がないことを医療機関内に待機し確認します。特に反応がなければ2日目からは自宅での治療を開始します。

 1日1回、治療開始後2週間は徐々に増量し(増量期)、その後は一定量を連日服用(維持期)します。3年以上の継続が推奨されています。

 ※治療開始3年経たないと効果が出ないわけではなく、ほとんどの方が治療後1シーズン目の花粉飛散時期に治療前より症状が軽くなることを自覚するようです。

「シダトレン®」の副作用

 治療開始時、服用開始初期(開始後1ヶ月程度)、スギ花粉が飛散している時期は特に注意が必要です。

  • 口の中の粘膜が腫れる
  • 口内炎
  • 喉の痒み
  • 耳のかゆみ
  • 頭痛
  • 強い花粉症症状

 などが主な副作用として知られています。

 症状が強い場合、治療を継続できない場合がありますので、医療機関での相談が必要です。

「舌下免疫療法」の対象年齢

 今までは12歳以上の患者様が適応でしたが、近々5歳以上の小児にも適応が拡大される予定です。

 低年齢から舌下免疫療法を開始することで、将来使用する薬剤の量を減らせることは非常に意味のあることだと思います。

「舌下免疫療法」が効く人、効きにくい人

 スギ花粉の舌下免疫療法では効果が出やすい人、出にくい人がいます。

効果が出やすい人

  • 主にスギ花粉に反応が強い
  • 2〜5月に症状が出る
  • 屋外で症状が出やすい
  • 鼻炎症状+目の症状がある

効果が出にくい人

  • スギ以外のアレルゲンにも強い反応が出る人

 スギ以外のアレルゲンに反応する方でも、スギの時期に最も症状が出るようであれば、この舌下免疫療法を試す価値はありそうです。

 この治療を開始後、スギのみならず、他のアレルゲンへの反応が減ったことを実感される患者様もいらっしゃいます。という私もこの治療を行い、ハウスダストなどへの反応も軽くなった一人です。

舌下免疫療法薬「シダトレン®」の薬価

 シダトレン®スギ花粉舌下液200JAU/mLボトル ・・・・・・・・421.10円/1週間

 シダトレン®スギ花粉舌下液2,000JAU/mLボトル・・・・・1,006.60円/1週間

 シダトレン®スギ花粉舌下液2,000JAU/mLパック ・・・・・・100.80円/1日

 ※健康保険証をお持ちの方で3割負担の方は上記価格の3割の費用をお支払いただきます。

花粉防御が絶対必要

 花粉症には様々な治療薬がありますが、そもそも花粉との接触を避けることが治療のファーストステップとなることは言うまでもありません。

  • 外出時の花粉飛散情報を確認し、飛散量が多い日の外出を控える。
  • 外出時はマスク、メガネを着用する。
  • 花粉が付着しにくい洋服を着用する。

 などの対策をぜひ行ってください。

マスク・メガネによりどれくらい花粉をブロックできる?

 マスク、メガネを着用した際に、どれくらい花粉への接触を防御出来るのでしょうか。

 着用しなかった場合に比べ、吸い込む花粉の量が通常のマスクでは3分の1,花粉症用のマスクでは6分の1まで抑えられ、また、結膜に付着する花粉の量は、着用しなかった時に比べ、通常の眼鏡で2分の1,花粉症用メガネで3分の1に抑えられるという結果が出ています。

 症状が強い方はぜひ、マスク、メガネを積極的に着用しましょう。

著者について

秋葉原スキンクリニック 医師 矢田 佳子

秋葉原スキンクリニック 医師 矢田 佳子

秋葉原スキンクリニック副院長
東京女子医科大学出身。東京女子医科大学病院、都内や地元静岡の皮膚科勤務を経て、2007年4月より、秋葉原スキンクリニック勤務。
(所属学会)日本皮膚科学会認定皮膚科専門医、日本美容皮膚科学会所属
院長堀内より
丁寧なカウンセリングと細やかな治療がモットー。仏のような広い心と忍耐強さ、包容力がすばらしいDr.です。悩める方は矢田Drへ。と患者様だけでなくスタッフからも絶大な信頼を得ています。