その他 皮膚疾患

蕁麻疹(じんましん)の症状と原因は?驚くほど多いその種類。

矢田佳子

 こんにちは。秋葉原スキンクリニック 副院長の矢田佳子です。

 虫に刺されてもいないのに、急に痒く赤い膨らみがでて、出たり引いたり… そんなことが起こったことはありますか?

 いったいこれはなんなの???特にアレルギーもないのに・・・。と不安になることもあるこの発疹。実は「じんましん」かもしれません。今回は、痒みの強い皮膚疾患の代表、「じんましん」についてお話させていただきます。

「じんましん」は誰でもかかるありふれた皮膚病

 「じんましん」は漢字では蕁麻疹と書き、イラクサ(蕁麻)の葉に皮膚が触れたときに出る発疹と同じであるため、この名前がつきました。5人に1人くらいの人が一生に一度は経験するといわれる、日常で比較的ありふれた病気です。10代〜30代の方に多くみられますが、年配の方でも「じんましん」で悩んでいる方は沢山います。

「じんましん」はどんな症状が出るの?

 典型的な「じんましん」は皮膚の一部が赤く盛り上がり(膨疹:ぼうしん)、強いかゆみを感じます。かゆみでなくチクチク感、ピリピリ感や熱い感覚を感じる方も稀にいます。そして時間とともに跡を残さずに消えるのが最大の特徴です。この特徴は他の皮膚病には見られない「じんましん」独特のもので、診断を付けるためのヒントになります。

 発疹は体中どこにでも出る可能性があり、大きさや形は様々。米粒のような大きさのものから、大きく地図状に広がるもの、引っ掻いたところがミミズ腫れのようになるもの。など色々です。

 通常、発疹は放っておいても数時間で消えますが、症状が強い場合、半日から1日程度赤みが続く場合もあります。症状が強いと、出たり引いたりを繰り返すため、常に発疹が出ているように見える場合もあります。

喉の違和感や腹痛も「じんましん」かもしれません!

 「じんましん」は皮膚だけに出来ると思っている方も多いと思いますが、実は体の中にも出現することがあります。鼻・眼の症状としてクシャミ、涙が出たり、口や喉に出ると、ムズムズ・イガイガを感じることもあります。さらに喉の粘膜が腫れて呼吸が苦しくなる「じんましん」は要注意!ひどくなると血圧が下がり、緊急事態になることもあります。

 さらに、胃や腸にも「じんましん」が出ると腹痛、吐き気、嘔吐、下痢などの症状が見られる場合もあります。

「じんましん」の起こる仕組み

 「じんましん」は皮膚表面の病気ではなく、皮膚の少し奥の方、「真皮」というところに起こる病気です。

 真皮にある血管の周りには、肥満細胞(マスト細胞)と呼ばれる、たくさんの顆粒(つぶつぶ)を持った細胞が存在しています。そしてその顆粒の中にはヒスタミンなどの物質が含まれています。何かのきっかけで肥満細胞が刺激されると、顆粒が細胞の外に放出されます。そうすると、顆粒中のヒスタミンなどの物質が血管に作用して「じんましん」を引き起こします。ヒスタミンは①血管を拡張させる。②血管の網目を粗くする。という作用があり、この作用によって血液の中の血漿成分(血液から白血球・赤血球などの細胞成分を除いた液体)が血管の外に漏れ出てしまうことで、真皮にむくみをおこし、皮膚が押し上げられることで膨疹となるのです。さらに、ヒスタミンは痒みの神経を刺激するため、多くの「じんましん」で痒みを感じます。

 しかし、ヒスタミンの作用だけでは「じんましん」のすべてが説明できない場合もあり、肥満細胞顆粒の中の、ヒスタミン以外の物質も病気の発症に関わっているといわれています。

内臓が悪いの?

 多くの蕁麻疹は出没を繰り返すため、内臓の病気の反映と思われやすいものですが、蕁麻疹の多くは内臓の病気とは関係なく、詳しい検査を行っても、異常が見つからないことが大部分です。よって、皮疹が数時間で消え、皮疹以外の自覚症状がない場合では、あまり心配をなさらなくて大丈夫です。しかし、膠原病、血清病、血液疾患、遺伝子疾患などの基礎疾患が見つかる場合や、甲状腺疾患、ウイルス性肝炎、胃炎などが蕁麻疹を起こしやすい背景因子になっていることもありますので、気になる自覚症状がある場合は、担当医師に伝えるようにしてください。

「じんましん」には沢山の種類があるってホント?

 「じんましん」の原因はアレルギーでしょ?と思っている方も多いのではないでしょうか。

 実はアレルギー性のものも多いのですが、中には非アレルギー性の「じんましん」もあり、皮膚の症状が似ていても、様々な原因とパターンが知られています。

 それでは原因を詳しく見てみましょう。

①食餌性じんましん

 食べ物が原因でおこります。アレルギー性のものと非アレルギー性のものが含まれます。

 じんましんの原因となる食べ物は卵・牛乳・チーズや豚肉、牛肉、鶏肉などの肉類。エビ、カニ、サバ、マグロなどの魚介類。小麦、ソバ、米などの穀物類。大豆などが有名ですが、その他にもアレルギーのイメージの少ないジャガイモやトマト、キャベツ、ほうれん草、セロリ、タケノコなどの野菜類、リンゴ、栗、バナナ、イチゴなどの果物類も原因となることがあります。

 イチゴ、トマト、キュウリ、ブドウ、柑橘類、プラム、アーモンド、香辛料などは、中に含まれるサリチル酸化合物によりじんましんを引き起こすことがあります。

 また、食品中のヒスタミンなどの物質によってアレルギーとは関係なく症状が出る仮性アレルゲンと呼ばれるものに豚肉、タケノコ、もち、鮮度の悪い青魚などがあります。古くなったサバやアジなどは、そこに含まれるヒスチジンという物質がヒスタミンに変化しじんましんを起こしてしまいます。ずっとサバを食べても平気だったのに、今回始めてじんましんが出ました。という方はこの仮性アレルゲンによるじんましんの可能性が高いかもしれません。

 その他に、食品添加物の黄色4号(たくあん・中華麺・カレーなどに使用される)、コチニール色素(口紅・食品などに使用する赤い色素)、保存料もアレルギーを引き起こすことが知られています。

②薬剤性じんましん

 ペニシリンを代表とする抗生物質、アスピリンなどの解熱鎮痛薬、造影剤など、原因となる物質が体に入ることで起こります。薬剤性のじんましんは発症が比較的早く、原因薬剤を摂取して数分〜遅くとも2時間程度で症状が出現することがほとんどです。症状が強く出ることも多く、場合によっては喉のむくみで呼吸がくるしくなるようなショック症状を起こす場合もあります。

③物理的刺激によるじんましん

 皮膚がこすれて出来る機械的じんましんや、圧迫された場所に出来る圧迫じんましん、日光にあたることで出現する日光じんましん、冷たい風や冷水などが当たると出る寒冷じんましん、温水などの温かいものに反応する温熱じんましんなどがあります。

④接触じんましん

 植物、ラテックスなど原因となる物質に触れた時に出るじんましんで、触れた部分とその周囲にじんましんが出ます。時に全身にじんましんが広がることもあります。原因として有名なものはイラクサという植物で、漢字で「蕁麻」と書き、じんましん(蕁麻疹)の語源となった植物です。ネコ、ウサギ、ラテックスなどにも反応して症状が出ることがあります。

⑤コリン性じんましん

 汗をかいた時に出るじんましんで、運動や入浴時に出たり、緊張や興奮したときに汗をかいて出ることもあります。小さい虫さされににた発疹が沢山出てくること。ピリピリした感覚があることが特徴です。このタイプのじんましんは10代〜20代の比較的若い世代に見られることが多いのも特徴です。

⑥病巣感染じんましん

 このじんましんは体のどこかに慢性的に細菌感染が続くことで生じるタイプです。例えば蓄膿(副鼻腔炎)、扁桃腺炎、歯周炎、まれにピロリ菌の感染でもじんましんが起こることがあります。

⑦心因性じんましん

 精神的に追い詰められたり、仕事が忙しく強いストレスを感じたりしたときに出現するタイプのじんましんです。悪いことばかりでなく、結婚、出産や引越し、昇進、進学などの際の知らず知らずのストレスでも誘発されることがあります。

⑧食事+運動により出現するじんましん(食物依存性運動誘発アナフィラキシー)

 食べ物だけでは症状が出ず、運動だけでも症状は出ないのに、ある原因となるものを食べて少なくとも3時間以内に運動をすると発症する特殊なじんましんです。

 このタイプのじんましんはアスピリンなどの解熱鎮痛薬が加わるとさらに悪化する場合もあります。また、悪化要因として疲労や強いストレス、飲酒が関係していることもわかってきました。原因となる食べ物は小麦、エビ、イカ、カニ、、ぶどう、木の実、ソバ、魚などがありますが、その中でも特に小麦が多く、日本人の食物依存性運動誘発アナフィラキシーの方の半数が小麦を原因としています。また、このタイプはじんましん以外に呼吸困難や意識がなくなるようなショック症状を起こすことがあるため非常に注意が必要です。

⑨IgEまたは高親和性IgE受容体に対する自己抗体によるじんましん

 最近では、自分自身の血液の中に肥満細胞を活性化する抗体(自己抗体)が存在する方がいることも明らかにされています。

※1つの蕁麻疹にいくつかの原因・誘因が関係したり、2つ以上のタイプの蕁麻疹が同時に現れることもあります。

原因不明の「じんましん」があるの?

 じんましんが出ると、何か悪いものを食べたかな・・・。飲んだ薬が原因かな・・・。と原因を考えてみますよね?それでもまったく心当たりがなく、さらに病院で原因を探しても答えが見つからず。ということも多くあります。なぜなら、病院で診察されるじんましんの方の70〜80%は原因不明と言われているのです。

 原因がわからなければ治せないじゃない!と思う方もいらっしゃると思いますが、原因が特定できなくてもじんましんは治療できます。

 では次の回で、「じんましん」の原因をさぐるための様々な検査や治療方法についてお話しさせていただきます。

著者について

矢田佳子

矢田佳子

秋葉原スキンクリニック副院長
東京女子医科大学出身。東京女子医科大学病院、都内や地元静岡の皮膚科勤務を経て、2007年4月より、秋葉原スキンクリニック勤務。
(所属学会)日本皮膚科学会認定皮膚科専門医、日本美容皮膚科学会所属
院長堀内より
丁寧なカウンセリングと細やかな治療がモットー。仏のような広い心と忍耐強さ、包容力がすばらしいDr.です。悩める方は矢田Drへ。と患者様だけでなくスタッフからも絶大な信頼を得ています。